岩崎 亮 氏
株式会社ロカボワークス 代表取締役
太田 大智 氏
株式会社JAPAN SOLUTIONS 執行役員
機能性表示食品「尿酸と脂肪のダブルバスター」を主力商品に、社員わずか4名で年間売上20億円超を実現する株式会社ロカボワークス。タレント起用プロモーションで月間新規獲得数は5,000〜12,000件に達し、複数の代理店・ASP・メディアとの広告運用を日々回している。
しかし、その裏側には「管理が追いつかない」という切実な課題があった。本記事では、ロカボワークス代表の岩崎亮氏と、同じくD2C事業の経験から管理体制の課題に直面したJAPAN SOLUTIONS・太田大智氏の声を交えながら、少人数EC企業が直面する広告管理の現実と、その解決策を紹介する。
2人で始めた事業が、成長するほど管理が破綻していった
ロカボワークスは創業当初から、岩崎氏がほぼ一人で広告運用を担ってきた。企画・マーケティングから代理店フロントまで全方位を一人でこなす体制で、新規獲得が月2,000〜3,000件の段階ではマンパワーで回せていた。だが事業拡大とともに、管理の複雑さは急速に膨れ上がっていく。
代理店と直接やり取りするケース、ASPを経由するケース、リスティング・ショート動画・バナー・記事LP——確認すべきクリエイティブの種類も経路も多岐にわたる。特にByteDance系媒体では冒頭違いのパターンで一度に20本近い動画が納品されることもあり、1本ずつ1.5倍速で確認してもチェック漏れが発生していた。
他メディアからの指摘で気づいた、ヒヤリとした瞬間
岩崎氏が語ったのは、広告管理のヒヤリハット体験だ。自社のレギュレーションでは本来NGとすべきクリエイティブをチェック漏れで許容してしまい、問題に気づいたのは別のメディアからの指摘だった。景表法上のリスクだけでなく、代理店やメディアとの信頼関係にも影響するミスである。
「『このレギュレーション、御社では駄目と言っていたのに、なぜここで動画として回っているんですか』と指摘されて。最終的には『すみません、こちらが見落としていました』という話になるんですが、人的構成の限界をかなり感じました」
JAPAN SOLUTIONSが陥った「ルールを厳しくしすぎた」失敗
この課題はロカボワークスだけのものではない。自社でD2C事業を運営するJAPAN SOLUTIONS・太田氏も、同様の壁にぶつかった経験を持つ。コロナ禍で売上が急伸したあと、法令対応の必要性が増す中で管理体制の構築ではなくルールの厳格化で対処した結果、事業が縮小に転じてしまったという。
「少人数でやっていた中で、管理の仕組みを整えるのではなく、ルールを厳しくしてしまった。表現を制限してしまった結果、成果が低下してしまったんです」
広告出稿量・クリエイティブ改善数を増やすことが事業として重要な一方で、管理シートが増え続け、誰が何を見ているのか分からなくなる。その結果、悪い意味でルールを固めてしまい自社EC事業は苦戦が続く——太田氏はそう振り返る。
統一フォーマットを作っても、浸透しなかった
ロカボワークスも手をこまねいていたわけではない。自社でチェック用のフォーマットを策定し代理店・メディアに共有したが、定着しなかった。代理店ごとに使い慣れた自動化フォーマットがあり、全体浸透には至らない。そのとき抱える課題の変化にも追いつけず、ルールは次第にあやふやになっていった。
納品方法もバラバラだ——Googleドライブ、スプレッドシート、直接リンク。ASPを経由する場合は、その先のアフィリエイターやメディアにまでフォーマットを強制することは事実上不可能だった。
AdKura導入で変わった、3つの数字
ロカボワークスがAdKuraを導入したのは、共通の知人からの紹介がきっかけだった。サービスリリースからまもない時期である。導入にあたって岩崎氏が最も懸念したのは、代理店側が本当に使ってくれるかという点だ。中途半端に運用が始まれば、既存フローに加えてAdKuraの管理も発生し、かえって工数が増えるリスクがある。
実際に運用を始めてみると、代理店側の抵抗は想定より小さかった。ASPの承認ボックスの中で、さらに代理店・メディアごとに管理できるテナント構造が、複雑な取引関係にフィットしたという。
代理店・メディア側にもメリットがあった
注目すべきは、導入が広告主側だけでなく代理店・メディア側にもメリットがあった点だ。メディア側からは「むしろこちらの方がコミュニケーションコストが削減できていい」という声も寄せられ、想定より早いペースで定着した。
鍵となったのは、チャットワーク・Slackとの通知連携だ。ロカボワークスでは「広告の管理チャット」という専用Slackチャンネルを設け、確認依頼や承認完了の通知だけが自動で流れる仕組みにしている。週明けにショート動画が50本納品されても、隙間時間にAdKura上で順次チェックを進めれば、承認済みのものからメディア側にリアルタイムで通知が届く仕組みだ。
「ナンバーXXの修正って、どれだっけ」問題の解消
従来のスプレッドシート管理では「ナンバーXXの修正」といったIDベースのやり取りが発生する。数十本の動画をチェックしている中で、その1本を覚えていられるわけがない。代理店側が誤って前のリンクを送ってきて「直ってません」となるトラブルも頻発していた。
AdKuraでは、NGを出したクリエイティブが修正されて戻ってきた際に、そのまま過去の指摘コメントと照らし合わせて確認できる。「いちいち『これは何でNGを出したんだっけ』とならないのは、使ってみた中で革新的でした」と岩崎氏。
動画チェックの「秒数をテキストで伝える」原始的作業からの解放
動画クリエイティブのチェックは、特に工数がかかる作業だ。
「ずっとテキストで『何秒の何々がこう』と書いて、動画を見ながらメモで秒数を打って……すごく原始的なことをしていました。秒数プラス言葉で言っても直感的に伝わらないので、差し戻しも多かったですね」
AdKuraでは動画にタイムスタンプ付きで直接コメントできる機能があり、チェック中に気になった箇所で止めてその場でフィードバックを残せる。代理店側はどの箇所に対するどういった修正なのかを即座に把握でき、差し戻し回数の削減に直結している。
数値より大きかった、「追われる感覚」からの解放
岩崎氏が語った、AdKura導入後の最大の変化は数値ではなかった。
「一番大きいのは、広告の審査周りの管理に追われる感覚がなくなったということ。常に『広告物見なきゃ』という状態だったのが、AdKuraで管理することで、溜まっていれば見ればいいという感覚になれた」
管理業務に追われなくなったことで、本来注力すべき事業戦略やクリエイティブの企画に頭を使えるようになった。「少人数の経営をこれからも続けていきたい。ここは属人化ではなくツールで解決できる部分。新しいことを考えるフェーズや人員にリソースを投下できるのは、かなり強みだと感じています」と岩崎氏は語る。
今後の展望——AIチェックと素材管理
AdKuraには現在、AIによる薬機法・景表法チェック機能が搭載されている。会社独自のレギュレーションを読み込ませると、代理店がアップロードしたクリエイティブに対して事前にAIチェックが走り、広告主が確認する段階では違反リスクのある表現がアラート付きで表示される。
AIだけで100%完璧ではないものの、社内の一次チェック機能としては十分に活用できる——岩崎氏はそう評価する。レギュレーション判断を責任持ってできる人材を育てにくいという、属人化からの脱却にも効きそうだという。
さらに、広告に使用する素材の管理機能も近日リリース予定だ。タレント素材の使用許諾期間や利用可能な媒体をタグで管理し、代理店側は許諾期間内の素材のみを参照してクリエイティブを制作できる仕組みとなる。
まとめ——「仕組み」で解決するという選択肢
少人数でEC事業を運営する企業にとって、広告管理の効率化は単なる業務改善ではなく、事業の成長速度を左右する経営課題だ。
JAPAN SOLUTIONS・太田氏の「仕組みを整えずルールを厳しくして失敗した」経験と、ロカボワークス・岩崎氏の「ツールで解決して本来の業務に集中できるようになった」経験は、コインの裏表と言える。
管理の煩雑さに対して、人を増やすのでもルールを厳しくするのでもなく、仕組みで解決する。それが、少人数で大きな成果を出し続けるための一つの答えなのかもしれない。
POINT
「管理を厳しくする」のではなく、「管理の仕組みを変える」ことが正解。属人化しがちな広告チェック業務は、ツールで仕組み化することで少人数でもスケールできる。
AdKura(アドクラ)について
広告クリエイティブの承認・管理ワークフローを一元化するSaaS。広告主・代理店・メディア間のクリエイティブチェックを効率化し、AIによる薬機法・景表法チェック機能も搭載。2025年4月サービスリリース、現在ユーザー数2,300人超。
- サービスサイト:https://adkura.co.jp
- 無料トライアル:1ヶ月のトライアル受付中
- お問い合わせ:info@adkura.co.jp