認知機能に係る機能性を標ぼうする機能性表示食品の表示に関する改善指導及び一般消費者等への注意喚起について
| 公表日 | 2022年3月31日 |
|---|---|
| 処分などの種類 | 行政指導等 |
| 出典 | 消費者庁 |
| 関連法規 | 景表法・健増法 |
| 関連条文 | - |
| 違反の類型 | 優良誤認、誇大広告 |
| 商品カテゴリ | 健康食品・サプリメント、機能性表示食品・特保 |
| 違反パターン | B-3 健康食品・サプリ、B-4 機能性表示食品・特保 |
概要
消費者庁は、認知機能に係る機能性を標ぼうする機能性表示食品のインターネット広告について一斉監視を行い、多数の不適切な広告表示を確認し改善指導を実施した。
問題とされた表示は大きく以下の類型に分類される。
第一に、物忘れや認知症の治療又は予防効果等の医薬品的効果効能が得られるかのような表示である。「認知症予防の救世主」「認知症は早めに対策すれば発症や悪化を防げる」といった表現により、機能性表示食品があたかも認知症の予防・治療に効果があるかのように消費者に誤認させるものであった。機能性表示食品は医薬品ではなく、認知症の予防・治療効果を標ぼうすることは景品表示法上の優良誤認表示及び健康増進法上の虚偽・誇大表示に該当する。
第二に、届出表示の一部を切り出して強調することで、届出された機能性の範囲を逸脱した表示である。例えば届出表示が「認知機能の一部である空間認知能や場所を理解するといった記憶力を維持する機能」と限定されているにもかかわらず、単に「記憶力維持!」と表示したり、「維持」を「改善」に読み替えて表示するなど、届出範囲を超えた効果を暗示する表現が多数見られた。
第三に、対象者が中高年に限定されているにもかかわらず「受験生」「学生」「お子様」向けに訴求する表示、機能性表示食品では解消できない身体の不安や悩みを列挙して不安を煽る表示、消費者庁の許可・承認を受けているかのような表示、実験結果やグラフを用いて届出範囲を逸脱した改善効果を強調する表示なども問題とされた。
これらの表示は、商品の品質・効果について実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認させるものであり、景品表示法第5条第1号(優良誤認表示)及び健康増進法第65条第1項(誇大表示の禁止)に違反するものであった。
問題とされた表示(公表資料より)
- 「認知症予防の救世主〇〇大学教授監修」
- 「2025年には65歳以上の5人に1が認知症に」
- 「認知症は物忘れだけではありません!、トイレで用を足せない、徘徊する、暴言を吐く、幻覚を見る、異性に抱きつく、暴力を振るう、不潔なままでいる、認知症の原因は40代から始まっている!」
- 「認知症の代表的疾患であるアルツハイマー病は、記憶をつかさどる海馬の萎縮が脳全体で起きることにより発症」
- 「海馬の委縮は、脳細胞を死滅させてしまう『アミロイドβ』というタンパク質が40代から数十年かけて脳に蓄積していくことで引き起こされる。そのため、認知機能を維持しておくには少しでも早めの対策が必要。」
- 「認知症は早めに対策すれば発症や悪化を防げる」
- 「アルツハイマー病モデルマウスが野生型マウスと同程度まで記憶障害が改善」
- 「記憶力維持!」
- 「認知機能を維持する」
- 「あなたも『脳疲労』が蓄積していませんか?脳疲労の典型的な初期症状とは?よく眠れない・・・、便秘気味・・・、食事がおいしくない・・・、脳疲労は万病のもと!〇〇で脳の酸化を防ぎましょう!」
- 「あなたや身近なご家族にこんな事、起きてませんか?☑一度聞いたことを聞き返してしまう、☑探し物が増えるようになった、☑スケジュールを忘れてしまう、☑家族に心配されることが多くなった、☑大事な要件を忘れることがある、☑コミュニケーションがうまくいかない、1つでも当てはまれば記憶力や認知機能が低下しているかもしれません。」
- 「機能性表示食品の取得、機能性表示食品とは安全性、科学的根拠を満たし、適切に情報提供を行うことが消費者庁により確認された商品です。」
- 「高齢者の『徘徊』『転倒』に関連する『場所を認識する能力』が改善することが明らかに!」
- 「受験生の考える力を鍛えるために」
- 「こんな方におすすめ、勉強をがんばる学生」
- 「学校・塾でお子様の集中力アップに」
- 「記憶力を維持する」
- 「認知機能改善」
- 「脳の血流を改善」
- 「こんなことありませんか?あれはどこにしまったかしら・・・。最近よく忘れてしまう。人の名前をよく忘れるようになった。日付もとっさに聞かれると出てこない。ひょっとするとそれは・・・。加齢と共に起きる認知機能の一部(記憶力)の低下によるものかもしれません。☑よく知っている人の名前のはずなのに出てこない、☑物をしまった場所がわからなくなる、☑時間や場所の感覚が不確かになり、約束事を間違えるようになった、☑曜日や月を聞かれてとっさに答えられない、☑数日前の会話が思い出せない、☑本の内容やテレビの筋がわからなくなる」
- 「記憶力や物忘れが気になる方に、☑近頃、物忘れが・・・、☑漢字がすぐに思い出せない、☑さっき聞いたことが出てこない、☑最近、記憶に自信がなくなってきた、☑あの人誰だったかな・・・、☑お店の名前が思い出せない、☑言おうとしている言葉がすぐに出てこない、☑そんなこと言ったかしら?」
- 「年齢とともに低下する認知機能に不安を感じたら。最近、こんな『変化』を感じていませんか?知人の名前が出てこない、鍵をかけたか不安になる、車の運転に不安がある、集中力が続かない、漢字が思い出せない」
- 「認知機能の機能性表示(臨床試験による)取得食品」
- 「『機能性表示食品』に認定!認知機能の低下を抑制する効果が期待されるとして、消費者庁の機能性表示食品に、全国で初めて認定されました。」
- 「12週間摂取し続けたところ、『記憶力』に関する試験である視覚性対連合記憶試験において、有意な改善が確認できました。」
- 「臨床試験で確認 ヒト試験において〇〇を摂ることで『記憶力、空間認識力への改善』を確認!」
適正な表現例
届出された機能性の範囲内で正確に広告表示を行い、届出表示の一部を切り出して強調したり、範囲を逸脱した効果効能を標ぼうしなければ適法であった。また、医薬品的効果効能(認知症の予防・治療等)を標ぼうせず、あくまで届出済みの機能性の範囲で表示を行うことが必要であった。対象者の範囲についても、科学的根拠が得られた対象者(中高年等)に限定して訴求する必要があった。実験結果やグラフを用いる場合も、届出された機能性(維持)の範囲内で正確に表示し、「改善」効果を強調しないことが求められた。
この事例に関係する違反パターン
- B-3 健康食品・サプリ:健康食品・サプリメントにおいて医薬品的効能効果を標ぼうするケースです。疾病の治療・予防効果、身体機能の増強効果の標ぼうは薬機法上の未承認医…
- B-4 機能性表示食品・特保:機能性表示食品や特定保健用食品において、届出・許可された範囲を超える表現や、届出表示と異なる表現を使用するケースです。機能性表示食品は届出…
参照リンク
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本ページは、消費者庁・厚生労働省などの公表資料をもとに整理した情報です。個別の広告表現が適法かどうかを判断・保証するものではありません。弁護士の監修範囲は、違反パターンの類型化と法的解説です。実際の表現は、最新の法令・ガイドラインと専門家の確認のうえでご判断ください。
収録データ:2026年9月18日公表分まで(ページ更新:2026年10月11日)